音楽歴史・偉人紹介ビートルズ編㉓

201508/15

音楽歴史・偉人

第二十三回ビートルズとは一体何だったのかをご紹介します。

ビートルズの音楽革命

この回は話が長いですが、続きからまとめていきたいと思います！

もしあなたが明治初期の書生さんだったらどうでしょう。想像して下さい。
港で会ったスペイン人が(ここでは名前をホセと例えます)あなたはギターをくれました。そして3つのコードの弾き方を教えてくれました。
あなたはそのコードをかき鳴らして、「八木節」を歌おうとします。ホセに教わったとおり、まずⅠ度のコードを鳴らします。その「ド」の音に、最初の「ア――」の発音を重ねます。そこを出発点にして「八木節」を歌っていくと、メロディは「ドミ♭ファソシ♭ド」を上下することになりますね。
ここのところ、とても重要ですから、持ってうる方は鍵盤で確認して下さい。

ア―――――――――――ア　　ア　ア　ア　ア――――――――――ア　ア
ド―――――――――――ミ♭ファソシ♭ソシ♭ド―――――――――し♭ソ

コードはどうしましょう。あなたは3つのコードを知っています。でも、どれもずれています。
このずれをどう考えるのか。欠点と考えるか、そこから新たな音楽性を展開させていくべき隙間と考えるか。

前回のコラムで伊沢修一という人の話をしました。
彼の解決法は、日本の歌の西洋の歌とずれた部分を削り落とすことでした。そうすれば共通する部分を踏み台にして、真の西洋音楽へと上昇していくと考えたのです。そういう姿勢の延長線上に「赤とんぼ」などの歌が生まれたこともお話ししました。
音楽の文化衝突は、こうして解決をみました。

舞台は変わります。19世紀末の南部。あなたはアメリカ南部の綿花畑で働く黒人。おじいさんは奴隷でした。南北戦争があり、南軍が負け、奴隷は解放され、お父さんは土地を分けてもらいましたが、白人に脅かされてそれも奪い取られました。どこの誰が白人にリンチされたとか、そういう話が伝わってきます。メキシコ人のカルロスがあなたにギターを渡して、3つのコードの弾き方をおしえてくれました。
あなたが知っているのは、5音階の民謡です。教わったコードを鳴らしてあなたは歌います。音がぴったり合わなくても、そのズレや不協和音の揺らぎを楽しみました。白人の音楽とは別な音楽をやりたかったんです。
こうしてブルースが誕生します。
ブルースはさまざまな方向へ進化しますが、最初にあなたが「ドミソ」を鳴らしながら「ミ」の音を低く揺らしてみたり、「シ♭」を発音したその独特の和音感覚は、伝統となって歴史を伝わっていきます。そして最終的に「Love Me Do」のハーモニカへと染み込んでいきます。

-いにしえへのイニシエーション-

1965年6月、全米チャートのトップにローリング・ストーンズの「Satisfaction」という曲が踊り出ます。

ローリング・ストーンズ「サティスファクション」アルバム「アウト・オヴ・アワ・ヘッズ」(1965)

パワフルなエレキギターによる執拗なリフレーンが印象的です。Ｅのコードにかぶさって、Ｂから始まる。「ソ・ラ・シ♭」の三音です。「Love me do」のハーモニカの入りと同じ音程の組み合わせですね。エレクトリックな音色、迷いのないエイトビート。ストーンズ初のナンバー・ワン・ソングになりました。
ボーカルも「ミーソシ♭―ソラ、ラードミ♭―ドレ」と、一番高い音が「ブルー」になる。高温で早口のシャウトが続くところは「ドシ♭」の2音を行き来する。ビートルズがＲ＆Ｂに被せた「学校音楽」の衣を剥ぎ取るようなパフォーマンスです。
ビートルズが「ドレミ歌」と混ぜることで西洋の子供たちに聞きやすくしたＲ＆Ｂ系のサウンドを、より「ブラック」で「バッド」な方向へ導いていく。これが当時のストーンズのプロジェクトでした。
しかしそのとき、ビートルズたちはもう次の段階に進んでいたのです。

気になりますが、今回はここまでにしたいと思います！次回はこの続きからまとめていきたいと思います！

今回でローリング・ストーンズの話が出てきましたね！皆さんはお好きでしょうか？
リフレクトスタジオでは、ストーンズ好きのスタッフがいるので、是非お声かけ下さい！